リフォーム基礎知識
屋根工事のポイント
屋根の基礎知識
屋根の各部分の名称

屋根の形状・用語
屋根の形状と特徴
屋根の形状にはそれぞれ機能性やデザインに違いがあり
それに伴って工事費やメンテナンスにも差が出ます。
代表的な屋根の形状と特徴をまとめます
切妻(きりづま)
棟(むね)を境に両方向に傾斜する逆V字型の屋根
特徴・メリット
シンプルで施工が容易
→ 工事費が安い
雨漏りしにくい
→ 傾斜があるため雨水が流れやすい
屋根裏部屋の設置や太陽光発電の設置がしやすい
通気性が良く、屋根裏の換気がしやすい
デメリット
風を正面から受けるため、台風や強風にはやや弱い
破風板(はふいた)や軒天(のきてん)が劣化しやすい
おすすめの環境
・雨が多い地域 → 排水がしやすい
・太陽光発電を考えている家
寄棟(よせむね)
四方に向かって傾斜する形の屋根
特徴・メリット
四方向に勾配がある
→ 風に強い(強風でも受け流しやすい)
重量感・高級感がある
→ 和風・洋風どちらにも合う
耐久性が高く、安定した構造
デメリット
谷部分(傾斜が合流する部分)で雨漏りしやすい
屋根裏の換気が難しい
→ 熱や湿気がこもりやすい
工事費が切妻に比べて高くなる
おすすめの環境
・台風や強風の多い地域
・見た目に高級感を持たせたい場合
片流れ(かたながれ)
屋根が一方向に傾斜している形
特徴・メリット
デザインがシンプル
→ モダンな印象
施工が簡単
→ コストが安い
太陽光パネルを広く設置しやすい
デメリット
風を受ける面積が大きい
→ 強風に弱い
雨が一方向に流れるため、雨樋の負担が大きい
おすすめの環境
・シンプルモダンなデザインにしたい場合
・狭小地やコストを抑えたいケース
入母屋(いりもや)
切妻と寄棟が組み合わさった形
特徴・メリット
重厚感・高級感がある
→ 和風建築に適している
強風や積雪にも強い
通気性が良く、湿気がこもりにくい
デメリット
構造が複雑
→ 施工コストが高い
谷部分や重なり部分が多いため、雨漏りしやすい
おすすめの環境
・和風住宅や日本家屋を建てる場合
・風雨や積雪が多い地域
陸屋根(ろくやね)
平らな形状の屋根
特徴・メリット
スペースを有効活用できる
→ 屋上庭園や物置として活用可能
デザインがモダン
→ スタイリッシュな印象
施工が容易
→ 工事費が比較的安い
デメリット
排水が悪く、雨漏りしやすい
紫外線や熱の影響を受けやすい
防水処理やメンテナンスが重要
おすすめの環境
・都市部や狭小地でスペースを有効活用したい場合
・積雪が少ない地域
屋根の形状ごとの比較まとめ
形状 | 施工費用 | 風への強さ | 雨への強さ | デザイン性 | メンテナンス頻度 | 施工難度 |
---|---|---|---|---|---|---|
切妻 | 安い | 普通 | 強い | シンプル | 低い | 簡単 |
寄棟 | やや高い | 強い | 普通 | 高級感 | 普通 | 難しい |
片流れ | 安い | 弱い | 普通 | モダン | 低い | 簡単 |
入母屋 | 高い | 強い | 普通 | 重厚感 | 普通 | 難しい |
陸屋根 | 普通 | 弱い | 弱い | モダン | 高い | 普通 |
結局、どれが良いの?
コスト重視
→ 切妻・片流れ
強度・高級感重視
→ 寄棟・入母屋
デザイン・スペース重視
→ 片流れ・陸屋根
家のデザインや地域の気候に合わせて、最適な屋根を選ぶことで、耐久性・デザイン・機能性が両立できます!
環境で異なる屋根
地域ごとに異なる屋根の特徴と対策
環境と屋根の形状
屋根の形状や構造は、その地域の自然環境に適応するために工夫されています。
「どんな気候に強く、どんな自然災害に弱いか」を知ることで、適切なメンテナンスや補強が可能になります。
台風地域(沖縄など)

風への強さを重視
屋根の形状
平たい形状
→ 風を受け流しやすい
瓦屋根の場合は漆喰(しっくい)で全体を固め、瓦が飛ばないように固定
素材・工法
風に強いセメント瓦や金属屋根が主流
屋根全体をしっかり固定し、飛散を防止
弱点
風による剥がれや飛散が発生しやすい
台風シーズン前のチェックが重要
豪雪地帯

雪への対応を重視
屋根の形状
急勾配の屋根
→ 雪が自然に落ちるように設計
陸屋根(平らな屋根)
→ 家の構造を頑丈にして雪の重みに耐える
素材・工法
金属屋根が主流
→ 雪が滑り落ちやすく、耐久性が高い
屋根に雪止めを設置
→ 雪が一気に落ちて人に当たるのを防ぐ
弱点
雪が一気に落ちると危険
→ 雪止めや落雪防止柵が必要
屋根に雪が積もると重みで歪みや破損の可能性
温暖・多雨地域

雨漏り対策を重視
屋根の形状
緩やかな勾配
→ 雨が自然に流れやすい
しっかりとした防水施工
素材・工法
スレート屋根や瓦屋根が多い
屋根材の下に防水シートを施工
弱点
湿気やカビが発生しやすい
→ 通気性を確保
雨樋が詰まると雨漏りの原因に
乾燥・高温地域

断熱と耐久性を重視
屋根の形状
平屋や緩やかな勾配
→ 熱がこもらないように設計
日射を避ける軒の長いデザイン
素材・工法
セメント瓦や金属屋根(遮熱塗装済み)
断熱材や遮熱塗装を活用
弱点
断熱材が劣化すると効果が低下
熱膨張による屋根材のひび割れ
材料の耐久年数
素材別耐久年数 | |
---|---|
瓦 |
20~30年 瓦自体は100年以上の耐久性がありますが、 瓦同士のズレによって下地に雨水が染み込み、 その結果、葺き替えを検討されるケースが多く見られます。 |
スレート |
10年で塗装 20年で葺き替え・カバー工法や瓦への葺き替え |
トタン | 8年 |
ステンレス |
お手入れなし 長年の雨や雪により結露により下地が腐ることもあります。 |
カバー工法




特徴
カバー工法とは、屋根に限らず建築分野で広く使用されている方法です。
既存の屋根材や外壁材を取り除かずに、その上から新しい材料を張ったり葺いたりする施工方法を指します。
メリット
既存の材料を撤去しないため、撤去費や処分費がかからず、コストを抑えられるという大きなメリットがあります。
また、「屋根が二重になることでより丈夫になる」と考える方もいます。
一方で、古い屋根材をそのまま残すことに抵抗を感じる方もいらっしゃいます。
アスベストについて

かつて建築物には、アスベストと呼ばれる物質が使用されていました。
アスベストは人体に有害ですが、建築構造の強度を高めるために有効な素材であり、屋根材のカラーベスト(スレート)にも使用されていました。
カラーベストには元々アスベストが混ぜられていたため強度が増し、割れにくい特性がありました。 にアスベストが社会問題となってからは、各メーカーが「ノンアスベスト」としてアスベストの使用を廃止。 その代わりに、カラーベストの厚みをやや増やしました。
しかし、アスベスト入りの薄型タイプに比べると、現在の製品は強度がやや低く、割れやすくなっています。
その影響もあり、現在ではカラーベストの出荷量も大幅に減少しています。
工事費について
屋根材を比較すると、工事費は一般的に
「 日本瓦 > 陶器瓦 > セメント瓦 」
の順に安くなる傾向があります。
一方で、トタンとカラーベストの場合、これまでは工事費に大きな差はありませんでした。
また、瓦とトタン・カラーベストを比較した場合、瓦の方が高価なイメージが強いのが一般的でした。
しかし、最近の石油価格の高騰に伴い、金属系屋根材の価格が急騰しています。
そのため、近い将来には瓦とトタン・カラーベストの価格が逆転する可能性も考えられます。
その理由はいくつかあります。
・金属製品を扱うメーカーは世界的な大手が多く、中小の問屋はその価格方針に従わざるを得ません
・カラーベストのシェアはかつてクボタと松下が90%を占めていましたが、両社が合併して「KMEW(クボタ松下外装)」となったことで競争がなくなり、仕入れ価格が上昇しています。
瓦の場合は、もともと地元の製瓦工場で製造されていましたが、現在ではその数が減少しています。
現在、有名な瓦の産地としては、三州瓦、淡路瓦、石州瓦などがあります。
弊社では三州瓦のメーカーから直接仕入れているため、瓦のコストを抑えてご提供することが可能です。
見えない屋根工事、
見えないからこそ大切に
屋根工事を考え始めるきっかけ
屋根の傷みを営業の方に指摘されたり、自分で屋根の老朽化に気づいたりすることがあります。
しかし、高所が苦手な方にとっては自分で確認できないため、他人の意見を鵜呑みにするしかないことも多いでしょう。
屋根材ごとに異なる専門職
各工事には専門業者が...
屋根の材質によって、対応する職人が異なります
・瓦 → 瓦職人
・トタン → 板金職人
・カラーベスト → 塗装・瓦・板金
例えば、瓦屋根をトタン屋根に変更する場合は、板金が得意な会社に依頼するのが最適です。
偏った提案に注意
各工事の専門業者であるがゆえにそれぞれが得意な工法、素材の提案をされることがよくあります。
・瓦職人
→ 瓦への葺き替えを勧めがち
・板金職人
→ 板金への葺き替えを勧めがち
総合リフォーム工事会社の強み
ほとんどの業者は専門分野に特化していますが、
中村ワークス には瓦・板金・塗装の各分野に精通した職人が在籍しています。
そのため、多角的な視点から最適な提案が可能です。